よく言われるように企業のカラーが阪急が”都会派・高級”と言うイメージなのに対し阪神は”庶民派”とされていますが、その実態は関東における私鉄ほど差がないように感じます。
関東だと、新宿・渋谷といった東京西部や神奈川を地盤とする東急や小田急が”都会的”とされ、対して浅草・上野を起点として東京東部や千葉・埼玉を地盤とする東武や京成が”庶民派”というイメージが一般的です。
関東では、関西の鉄道よりJRや地下鉄との相互乗り入れが活発なため、自宅が庶民派の東武沿線で、目的地が都会派の東急沿線という人も結構います。東武に乗って、東急の沿線までずっと乗っていると本当に乗客の顔つきや車内の様相はまるで違ってきます。
京成や東武では、女性客だとまいかけ姿の下町のおばちゃんが乗ってきたり、泣き止まない他人の赤ん坊をあやす女性がいたりと賑やかです。
男性客は、寅さんの本拠地柴又を通ることもあり、寅さん風の男性がスポーツ新聞や競馬新聞を読む姿をよく目にします。
また、雨の日は長靴や雨合羽でも安心して乗ることができます。
対して、東急や小田急は男性の乗客だと児玉清風のエリートビジネスマンが眉間に皺を寄せて、日経や朝日または英字紙を読むというのが代表的なイメージです。女性客は、下町のおばちゃんと年齢層は同じでも、”おばちゃん”という感じのひとは少なく、どこか気取った”山の手マダム”と言う感じ、車内はあくまでも静かで、大きな声をだすのも憚れるような雰囲気。
実際、小田急は、車内放送でテープで広告を流していましたが、乗客から聞きたくもない広告を一方的に聞かされて不快だとして裁判沙汰になったこともあります。
雨の日に長靴を履いて乗ったら車内の冷たい視線を一斉に浴びることは必至?です。雨合羽は論外です。
関西の人が、よく”東京の人は冷たい”ということを言いますが、東急・小田急沿線については的を得ているかもしれません。
阪神と阪急については、私はどちらも何回も乗りましたが、関東の私鉄に比べて客層や車内の雰囲気はそれほど差はないように感じます。
阪神は庶民派といわれていますが、沿線に全国的に名が知れた高級住宅街の”芦屋”を通りますし、グループ内のホテル”リッツカールトン”は高級ホテルの範疇で、関東の庶民派の代表格京成のグループ内のホテル”じゅらく”がその名前の通り?リーズナブルな?価格で庶民の心を捉えている?のとだいぶ様相が異なります。
そうはいってもやはり阪神の方がタイガースのユニホーム姿の熱狂的なファンが大挙して乗り込んでくるなど賑やかで、関東の庶民派私鉄に似た雰囲気です。
阪急は、沿線に宝塚があるせいか”この人、タカラジェンヌ”という感じの目が覚めるような美人が多く、やはりどこか都会的です。阪急電車にタイガースのユニフォーム姿の乗客はみかけたことはありませんが、合併しても車内の雰囲気に似合わないような気がします。
明日からの経営統合に備えて、阪急沿線の駅で阪神タイガースのファンクラブ募集のポスターを貼ったり、阪急・阪神両社共通の記念切符を発売するなど色々動きが出てきていますが、私が最も興味があるのが阪神百貨店と阪急百貨店の行方です。
食料品が強い阪神に対して、衣料品・高級品が強い阪急と全くカラーが異なります。それを反映してか、両店の客層、特に女性客は阪神が”大阪のおばちゃん”が圧倒的に多いのに対して、阪急は”大阪の若くて都会的な女性”が主流です。
そのためか、私が良く行く阪神の食料品売り場では、阪急の買い物袋を持った女性はあまり見かけません。
デパートは”女性の城”と言われますが、例えば阪神が”大阪のおばちゃん”をターゲットにして、阪急が”タカラジェンヌ風の都会的な若い女性”をターゲットにするというように阪急と阪神が協力すれば大阪のどんなタイプの女性も客にすることが出来るかもしれません。
もし、阪神百貨店が”大阪のおばちゃん”にターゲットを絞ったら、一体どんな売り場になるんでしょうか、衣料品売り場はやはり豹柄が必須アイテムになるのでしょうか。今から、どうなるのか楽しみです。