タレントの知事当選というと、やはり横山ノックを思い浮かべてしまいます。12年前の統一地方選挙で、東京の青島幸男と共にコメディアンの元参議院議員の横山ノックが当選したことは記憶に新しいところです。
大阪の場合、参議院選挙でかつて、お笑いタレントの西川きよしがトップ当選を果たすなど、そもそもお笑いと政治の距離が他の地域より著しく短いようです。
大阪のTV番組を観ていると、お笑いタレントが普通の番組に出て、社会批評や政治批判をしているのをよく目にします。かつての世界的なコメディアンのチャップリンはコメディーを通じて、”権力・政治批判”をしていましたが関東のお笑いと異なり、”日常的に政治・権力をお笑いのネタにしてしまう”大阪のお笑いにはそれに通じるものがあるのかもしれません。
その点、そのまんま東は たけし軍団で、ビートたけしに年中ハリセンで引っぱたかれていたか、バラエティー番組の人気コーナー熱湯風呂であまりの熱さに悲鳴を上げていた位の印象しかなく、お笑いタレントといっても社会批評・政治批判までする大阪のお笑いタレントほどの存在感はありませんでした。
大阪の風土として、反権力・反中央の気風があるため、他の地域では強い官僚出身候補は官僚出身ということがマイナスにしかならないほど弱いようです。大臣・官僚なんて”それだけで何か裏で悪いことしてるんやないか”と考える大阪府民は”官僚あがりにやらせるんだったら横山ノックにやらせた方が面白いやんか、良いやんか”ということで、知事選で圧倒的な得票を得たようです。その点、参議院議員が1名を除いて全員自民党という反権力・反中央の大阪の政治風土とは全く対照的な保守王国宮崎県でのそのまんま東の当選は快挙とされていますが、他の保守2候補の得票を合わせると そのまんま東の得票を上回り、横山ノックのような圧倒的な勝利というわけではなかったようです。
ただその後、横山ノックが”汚職事件で辞任”が通り相場の中で”女性に対するわいせつ”という極めて異例の理由で失脚したことに大阪府民はよほど懲りたのか現在は、本来、大阪府民が最も嫌う経歴の通産官僚出身の太田房江女史が知事となっています。
前回の大阪府知事選では、”ベンチがアホやから野球できへん”との迷言?で有名な元阪神タイガース(というより元南海?)の江本氏が立候補しましたが、知名度のわりに得票をえられませんでした。もしかしたら、横山ノック知事の事件で全国的に失笑をかったことで大阪府民の政治意識が”面白いだけじゃダメや”と変化したのかもしれません。
もし、そのまんま東が出た選挙が大阪府知事選挙だったら横山ノックと同様の事件を想起させるようなことで、一時謹慎させられた そのまんま東の当選は難かしかったかもしれません。
折りしも今年は参議院選挙がありますが、今のところお笑いタレントの出馬は報じられていません。大阪での国政選挙は初めてですが、大阪の風土に見習い?”どうせならオモロイ候補にいれよう”と思っているところです。
でも、最近の参議院議員の顔ぶれをみていると”この人、ちゃんと字が読めるのか”と思うようなレベルの議員も散見されるので、それに比べたら社会批評・政治批判ができるお笑いタレントのほうがよほどましじゃないかという気がしています。
